清風読書会

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中原昌也「待望の短篇は忘却の彼方に」2003年春刊その2 20200523読書会テープ

【新聞紙】 H 剥製も、そこにないはずの身体が加工されて、現在に存在するわけですね。 S 中身をくりぬいて、過去・現在・未来という時間の流れから疎外されてしまう、ずっと滅びないで元の姿のままでいる。剥製とは時間を止めること。 Y 新聞紙もある意味で…

中原昌也「待望の短篇は忘却の彼方に」2003年春刊 20200523読書会テープ

【はじめに】 H ひさびさに中原を読んでいる。 S こんなに分からなかったけ、歯が立たない。 Y 分からないのが面白いのだけれど、噛み応えもなければ噛んでいるの?みたいな不思議な感覚でした。 S 私がいちばん分からなかったのは、老婆が二回り大きいとい…

太宰治「ヴィヨンの妻」その3

【ウントク・ヒョウトク】 S 「ケケケと妙に笑いました」というこの子どもを小説に書くのは、今だったらリスキーでしないでしょう。どうしてこの坊やは「阿呆」になっているのだろう? Kこれは実体験ですよね。津島佑子が書いている。 S 実体験だからといっ…

太宰治「ヴィヨンの妻」その2

【ネットワークとしての家】 H 妻が家を出たというのが大きいのではないか。家同士がつながる、飲み屋さんの家と大谷の家がいつの間にかくっついてしまう。僕は「清貧譚」が好きだから、家を出て、家に入ることに注目している。 S 家を出るという時の家は、…

太宰治「ヴィヨンの妻」 20200425読書会テープ

【はじめに】 登場人物は、大谷という作家、その妻、こどもが一人。一方、上州から出て来て小料理屋を開いている夫婦。戦前から戦後にかけて大谷に魅入られたように酒を飲み干されてしまう。今回事件が起きて、年末の押し詰まって、ようやく5000円を集めてき…

太宰治「作家の手帖」その5

【美しくのんきな女たち】 S さらに問題は残る。のんきで美しいを価値として私たちは認められるのかどうか? K 責任がないからのんきで美しいんでしょう。 S 戦争のまっただ中なのに、無心に、つまり戦争のことなど一切考えないでいられることに、無責任…

予定

5月23日15:00 中原昌也「待望の短編集は忘却の彼方に」から冒頭の短編、「虐殺ソングブックremix」から、町田康のリミックス作品

太宰治「作家の手帖」その4

【アメリカの母さんと日本の母さん】 S 最後の段落でアメリカの女と日本の女というのが表に出ているところがひっかかる。これをどう考えたらよいか? K この最後の段落3行か4行、これは書かされたのか、ご時世か? だから騙されているという感じがする。 S …

太宰治「作家の手帖」その3

【母さんの洗濯】 H 井戸端の母さんということばも同じですね。こどもがいる自分自身とも言えるし、もっと無名の存在のお母さんという意味ももってしまう。世代的にどちらに向かっても使える。自分でもあるし、無名でもあるし、両義的な使われ方。 K 奥さん…

太宰治「作家の手帖」その2

【階級を超える】 Y 煙草の火を貸すとかもらうとかいうのが、太宰の世界の大きさを表現している。コミュニティーとか、他者のとらえかた。 K いつも自分は多数派になれない。 Y ここで長々と書かれた関係性の話は何を意味しているのだろう? S 全体を見ておく…

太宰治 「作家の手帖」 1943年10月 20200503読書会テープ

【はじめに】S 小説が発表されたのは1943年10月。作中に書かれた出来事としては、昭和12年(1937)7月7日の盧溝橋事件。発表時と作中の出来事の時間に少しずれがあるようだ。時間を整理する必要がある。 時間の感覚が少し分かりにくい。「ことしの七夕は、例年…

花に舞う 深沢七郎 読書会テープ2

【花札】 Y 花札のルールが詳しい。うちのルール、ここでしか通用しないルールを使っているのはなぜか? S 辰夫には内省的なところがあって、兄貴ほど乗せられやすくない。観察者、書き手、語り手としての観察眼があり、お金の勘定もできる。辰夫には、博打…

花に舞う 深沢七郎 1981年 20200329 読書会テープ1

【はじめに】 登場人物は兄貴と呼ばれるシマちゃん、その妹かずみちゃん。かずみちゃんにちょっと惚れている辰夫。この辰夫の視点で語られる。甲府に近い小さな町の話。 鉄ちゃんは出世して東京交響楽団でフルートを吹いている。それを知ったシマちゃんは4月…

次回4月25日予定

スカイプ読書会は毎月第2、第4土曜日15:00から開催。参加希望者は連絡下さい。 1月25日15:00 深沢七郎 「数の年令」 2月8日15:00 谷崎潤一郎 「金色の死」(講談社文庫 青空文庫) 2月29日(変則)土曜15:00 泉鏡花 化鳥(青空文庫) 3月22日日曜15:00 泉鏡花 三尺…

深沢七郎 「妖木犬山椒」その3 20200111読書会テープ

H 正隆が四宮の即位を告げるところ、ありがたやと正隆には聞こえた、それから、正清の死を告げたところで、三宮の涙と正隆の涙が違っている(p.337)というのは、どういう意味だろう? S 「ふふふふ」(p.337)のところ、笑っているようにしか聞こえないのだけれ…

深沢七郎 「妖木犬山椒」その2 20200111読書会テープ

【犬山椒】 K 毒の山椒の話で、毒の山椒が実は催眠効果しかなかったというのはどういうこと? S 犬山椒は男山椒で、実がならない。普通の山椒は、雌木に実がなる。ところが、ここにイヌ山椒とかイネ山椒というのが出てくる。これには毒があるとも、催眠効果…

深沢七郎 「妖木犬山椒」その1 20200111読書会テープ

【歴史と神話】 S 小説は、歴史と伝説の間にあって何ができるかという問題がまず出ている。歴史の書物に一行しか書いていないことでも、語り伝えられた口碑は膨大になる。文字は縮約されている。両者には、語り方の違いがある。歴史上の人物には、道鏡とか孝…

深沢七郎「妖術的過去」1963年 20191207 読書会テープ

【はじめに】 ぼーっと見ている60歳の金次の枠と、すーっと変わって行く回想の物語本文の対比がある。ぼーっとと、すーっとの対比。

深沢七郎「無妙記」20191221読書会テープ

【はじめに】 「無妙記」は雑誌『文芸』に1969年11月号に発表され、1975年刊行の単行本『無妙記』に収録された。 全集第5巻に収録されている同時期の作品をいくつか見ていると、「白いボックスと青い箱」というごく短い作品が目に留まった。1977年の作品だが…

1月11日土曜スカイプ読書会の予定

1月11日 深沢七郎「妖木犬山椒」 全集5巻所収 中公文庫 1月26日 未定

夏の予定

8月17日14:30~ 南方マンダラ 河出文庫 の第1部仏教起源論p.145-176 スカイプ読書会 7月27日土曜15:00~ 今村夏子 むらさきのスカートの女 8月24日土曜15:00~ 向井豊昭 BARABARA

深沢七郎 「東北の神武たち」 1957年

結論だけメモ 父っあんと呼ばれる旦那衆(一軒を構え、長男相続)と、一生奴として働くズンムの2種類に、男は分かれる。女は、長男と結婚するか売りに出される。 父には長男を生んで反復・再生産の義務があり、ズンムには一回性の自由がある。1957年に出され…

予定 スカイプ読書会は第2,4土曜日

1月25日金曜 13:00から15:00 ヘリゲル『弓と禅』(角川ソフィア文庫) 1月26日土曜 太宰治 「新樹の言葉」「親友交歓」(『30代作家が選ぶ太宰治』講談社、青空文庫) 2月8日金曜 13:00から 千葉雅也 『動きすぎてはいけない』第1章と第2章 2月9日土曜 深沢…

三島由紀夫「切符」(1963年) 20190112読書会

【はじめに】 1,この作品は1963年8月の「中央公論」に発表された。冒頭に語られている1960年代の衰退しはじめた商店街のようすは、日本中の都市のあちこちで見られた光景である。 2,怪談の中核をなしている夏のお化け大会の描写は、八幡の藪知らずや鏡を…

三島由紀夫「雛の宿」その3

【金閣寺の構造】 H『金閣寺』では、お父さんから聞いていた金閣寺のあとに、現実の金閣寺を見て幻滅する。「雛の宿」では、一回目が最高の一夜、二回目で幻滅する、おなじ構造。 S 幻滅した後、現実の金閣を焼けば、あの幻想の金閣が手に入るという思考で…

三島由紀夫「雛の宿」その2

【桃源郷】S 一回目だけだったら、最高の一夜だったというのも壊れない。現実の自分の生活も壊れないし、妹との甘い思い出も守られる。そして、二回めは、現実の女に捨てられて、夢の女に走った。二回目はどうなったか? 迷子になったというのも重要だと思う…

三島由紀夫 「雛の宿」 1953年 「オール読物」掲載

【 はじめに 】 1、嘘つきのパラドックスが枠になっている。友人と僕の間で、大嘘つきの僕の話を信じるかどうか。末尾にも、君は信じるかと言って、読者に謎をかけている。中の話は、アスタリスクで二つに分かれていて、一回目と二回目の雛の宿行きがある。 …

来年の予定

スカイプ読書会 毎月第2,4土曜 15:00から17:00 1月12日土曜 三島由紀夫「切符」(文豪怪談傑作選三島由紀夫集 ちくま文庫) 1月26日土曜 太宰治 「新樹の言葉」「親友交歓」(『30代作家が選ぶ太宰治』講談社、青空文庫) 2月9日土曜 深沢七郎「東北の神武…

夏目漱石「一夜」(1905) 20181208読書会

【はじめに】 「一夜」は1905年9月の「中央公論」に発表、翌年刊行の『漾虚集』に収録されました。漾は漂うという意味で、水が漂うようにゆらゆら、ぼやぼやしている境界領域を描いた作品集という意味だと思われます。 『我が輩は猫である』には、「一夜」の…

スカイプ読書会の予定(12月変更あり)

スカイプ読書会(毎月第4土曜15:00~17:00) 12月8日土曜 臨時追加 漱石 「一夜」「趣味の遺伝」 12月22日土曜 三島由紀夫「雛の宿」と「花火」(文豪怪談傑作選三島由紀夫集 ちくま文庫 880円) 1月26日土曜 太宰治 「新樹の言葉」「親友交歓」『30代作家が…