清風読書会

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2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

三島由紀夫「雛の宿」その3

【金閣寺の構造】 H『金閣寺』では、お父さんから聞いていた金閣寺のあとに、現実の金閣寺を見て幻滅する。「雛の宿」では、一回目が最高の一夜、二回目で幻滅する、おなじ構造。 S 幻滅した後、現実の金閣を焼けば、あの幻想の金閣が手に入るという思考で…

三島由紀夫「雛の宿」その2

【桃源郷】S 一回目だけだったら、最高の一夜だったというのも壊れない。現実の自分の生活も壊れないし、妹との甘い思い出も守られる。そして、二回めは、現実の女に捨てられて、夢の女に走った。二回目はどうなったか? 迷子になったというのも重要だと思う…

三島由紀夫 「雛の宿」 1953年 「オール読物」掲載

【 はじめに 】 1、嘘つきのパラドックスが枠になっている。友人と僕の間で、大嘘つきの僕の話を信じるかどうか。末尾にも、君は信じるかと言って、読者に謎をかけている。中の話は、アスタリスクで二つに分かれていて、一回目と二回目の雛の宿行きがある。 …

来年の予定

スカイプ読書会 毎月第2,4土曜 15:00から17:00 1月12日土曜 三島由紀夫「切符」(文豪怪談傑作選三島由紀夫集 ちくま文庫) 1月26日土曜 太宰治 「新樹の言葉」「親友交歓」(『30代作家が選ぶ太宰治』講談社、青空文庫) 2月9日土曜 深沢七郎「東北の神武…

夏目漱石「一夜」(1905) 20181208読書会

【はじめに】 「一夜」は1905年9月の「中央公論」に発表、翌年刊行の『漾虚集』に収録されました。漾は漂うという意味で、水が漂うようにゆらゆら、ぼやぼやしている境界領域を描いた作品集という意味だと思われます。 『我が輩は猫である』には、「一夜」の…