清風読書会

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2022-01-01から1年間の記事一覧

今村夏子 とんこつQ&Aその3 読書会テープ20221016

【全面的マニュアル化】 S 私たちの生活全般が全面的にマニュアル化したということがある。仕事も教育もハンバーガー店もマニュアルの方が地道に素でするより効率がよいということになった。その事態と、この小説がよく符合する。自律より洗脳型の方がうまく…

今村夏子 とんこつQ&Aその2 読書会テープ20221016

【大阪弁ネイティブ】 S 大阪弁のところ、Iさんネイティブで発音してみて下さい。 I あめちゃん食べる、ああおもろ、ほなさいなら。ちゃうちゃう、おかみさんとちゃう。 S 「あなたじゃないねんだから」というのも、もう絶対ネイティブじゃないと発音できな…

今村夏子 とんこつQ&A その1 読書会テープ20221016

【はじめに】 S しみじみ面白いですね。ところで最初に出てきたドルフィンってどういう店? 本文の中にあまり情報がない。 I 夜の時間帯の店、キャバクラのような? K 夜のレストラン? H 8時から午前2時までとある、夜の店。 S 主人公の今川さんの年齢はど…

太宰治 『道化の華』その3 20221001読書会テープ

S 真野の怪談が一番面白かった。入水した青年の話で、カニが翌朝部屋に出たという。これ入水者がどうしてこんなにいるんだ? ダブルになっている? 自殺をはかった青年と自殺をはかった大庭葉蔵の話が重なるが、何で重なるのか? 葉蔵は自分の身と引き合わせ…

太宰治 『道化の華』その2 20221001読書会テープ

【パノラマ式描写】 S 少女から見た葉蔵の横顔で、ここで視点が変わったりする。最初に読んだときボヴァリー夫人を読んでいるのは葉蔵だとばかり思っていた。勝手に視点が変わる。 K 看護婦が横腹をつつくというのも葉蔵のことだとばかり思っていた。どうせ…

太宰治 『道化の華』20221001読書会テープ

【語り手の実験】 S『道化の華』は何だかとても難しかった。 K 新しい実験的な作品だったんでしょうか。語り手が作者自身で、それを僕と言っている。 S その語り手のどこが新しいのだろう? まず大庭葉蔵という『人間失格』にも名前が出てくるフイクション上…

次回4月17日曜13:30より

泉鏡花 夜行巡査 青空文庫収録

泉鏡花「さゝ蟹」20220306読書会テープ

S 「さゝ蟹」は、全集別巻の書誌によると、明治30年5月に「国民の友」に3回にわたって連載された。1897年だと漱石より少し前の作品。これまで読んだ中で一番この小説に近いのは、漱石の「一夜」という作品じゃないかと思う。 絵に描いてある女の人とか、葛餅…