清風読書会

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2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ヘンリー・ジェイムズ 行方昭夫訳「嘘つき」その2 20230218読書会テープ

【秘密】 S 画家が肖像を描くということと、小説家が小説を書くということが相似形になっていて、小説についての小説になっている。その構造をもう少し明らかにしたい。 真ん中に何を置くかという最初の話に戻ると、大佐という特異な人物を置いていると考え…

ヘンリー・ジェイムズ 行方昭夫訳「嘘つき」その1 20230218読書会テープ

【信頼できない語り手】 H 嘘を暴くために絵を描くときに、ライアンは、絵筆を使って現実そのものを描くというより、ねじ曲げて大佐を描いている。その結果はじめて歪んだ大佐の嘘が描かれる。その絵筆をとるやり方は、大佐が現実に対して脚色してその結果嘘…

ヘンリー・ジェイムズ 行方昭夫訳「ほんもの」 20230218読書会テープ

【はじめに】 「ほんもの」も挿絵画家の話です。画家のもとに立派な紳士と細っそりした夫人が訪ねて来て、絵のモデルにお願いしたいと言ってくる、しかし全然まるで使えない。そこへ何にでもなれるミス・チャームや浮浪者のようなイタリア青年オロンテが来て…

ヘンリー・ジェイムズ 「教え子」その3 20230205読書会テープ

【国際テーマと詐欺】 I コスモポリタン的生活というのは、最近のインスタグラムとかユーチューブで、海外へ行って私たちこんなセレブリティなことしていますとか、仕事が日本では一攫千金もできないから、海外で新しいことをする、小説を読みながら近しいも…

ヘンリー・ジェイムズ 「教え子」その2 20230205読書会テープ

【資本主義前夜】 M これ読んでいて資本主義の話に思える。私の今の仕事はリース取引で、会社が物を買ってその代金と利息をお客さんからもらいながら、その物を貸す、金融商品なのですが、これをしていると騙ましている感がすごくある。この小説は、資本主義…

ヘンリー・ジェイムズ 「教え子」その1 20230205読書会テープ

【はじめに】 H はじめてヘンリージェイムズを読んだんですが、とても不思議な文章、ぼんやりしたところに焦点を当てようとしている。 たとえばペンバートンとモーガンの対話で、モーガンが嘘つきと言ったのに、両親は「これでもペンバートンさん、私たちを…