20161209読書会テープ
【家族構成】
Sモリオとモリコの母は一人で働いており、父はいない。
Fおばあちゃんはモリオの本当のおばあちゃんなのでは。
Yそちらに行かせまいとして、お母さんが漫画を買って与えた。
S父の側と母の側で引っ張り合いになった。
F122頁に、「魔剣とんぺい」の黒モグラ団の団長がとんぺいのじつの父かもしれないとあるので、モリオのじつの父もあの男ではないか。
Sモリオは「魔剣とんぺい」に入り込んで読むので、おばあちゃんを守って黒モグラ団の団長のような怖い声の男と戦うことを夢想し、その男が自分のじつの父親かもしれないと知る。つまり、モリオは物語を通して自分の父親を発見してしまった。母はそれをずっと隠してきたので、それでモリオを呼び戻そうとした。
Yそうするとおばあちゃんの「みんなあげる」も分かる。
F父の新しい妻が産んだのがセーラー服と弟か?
Kだけれど、弟がモリオと同じ年であるから、モリオの母のほうが先妻?
Sモリオの母が後妻で、セーラー服の少女の母が先妻?どちらにしろモリオの父はその人かもしれないが、記述が断片的すぎて、二つの家族がどのような構成であるかあまりよく分からない。
「魔剣とんぺい」を母から買ってもらって、なぜおばあちゃんのところに行くのが最後になった?
Y孫だと言っているところで、自分以外の孫がちゃんといたということがバースデイパーティで分かったから。本物の孫がいたから。
Nモリオはおばあちゃんにねだって「魔剣とんぺい」を買ってもらうつもりだったが、母が買ってくれたから、もうおばあちゃんのところに行く必要がなくなった。
Sおばあちゃんがお金をみんなぼくちゃんにあげると言っているところから、この家の財産を誰が継ぐべきかという問題があるらしい。孫がいるからには自分には相続権がない。モリオが「魔剣とんぺい」を通して夢想したように、男が実の父で、おばあちゃんが実の祖母なら、自分には漫画を買ってもらう権利があるということになる。しかし、自分と同じような孫がいることが分かって夢が破れた。これでだいたい繋がったようだが、何か腑に落ちないものが残る。
モリオは、おばあちゃんを守りたいとも言っている。断片的で、このように繋げてよいかどうか分からない。
【子供を森に捨てる】
Nモリコが最初に孔雀を見ているので、モリコが何かありそう。
Sセーラー服の女の子も、小さい頃、孔雀だと思っていたとある。左右対称、父系列のセーラー服と弟、母系列のモリオとモリコ、おばあちゃんがどちらの系列をとるかという問題か?お金をあげるというのはモリオが正統になること。
Nそれなら、モリオ達を選ぶのはわかるような気がする。
S母が病気、おばあちゃんが病気、同じ病気かな。ともに投薬の必要な病気を持っている。母は薬がないと働くことができない、てんかんのような? 女性経由で継承していくなら、モリコにも何か病気の兆候はないか?
Nあばれている。132頁に泣きじゃくり、暴れて、殴るとある。
S発作ではない? 女性経由で病気が伝わる。いずれモリコも発病する。男たちはその病気の世話をするということでは?父には別の妻がいて、美しいセーラー服の姉、弟も健康な子どもが生まれている。病気の母とモリオ・モリコは外に出された。つまり、欠損があって森に捨てられて森で育っている子。
K大江健三郎と関係があるか?
S『同時代ゲーム』も兄妹類型で、いずれ光君をむかえて四国の山の中にアジールを作っていく話では。モリコ、モリオは変な名前。捨てられた子、里の家制度から追い出された子。あみ子と同じように植物をいじっている。森の子の系譜。
N人形を見て神様と言っているのも森の系譜らしい。
Sオシラ様の人形のように。
S里の家継承の物語に対して、森の子は、家を出て、村を出て、冒険と戦いと恋の物語を生きる(父は不在)。
あみ子にとって、おばあちゃんの家はアジールだった。森で子どもを育てる山姥だね。そこに人間世界では住みにくい発達障害をもっているような子を預け、保護する。モリコ、モリオは森の子、捨てられた森の子。私たちは発達障害の子供を森に捨てているということだ。
あまりの怖さに寒くなる。私たちは、必要とあらば老人を山に捨て、子供を森に捨てる。普通の生活をしていることそのものがとても暴力的、そのこと自体が暴力的だということ。排除問題とはそういうこと。わたしたちが結婚し子供を作り家を継承していくことがそのこと自体でとても暴力的であること。
モリオ、モリコはものすごく変な名で、双子のようでもある。「おばあちゃんの家」には宮永という姓があった。「森の姉妹」には姓も名もなく、森にいるからモリコとモリオ、名前がない、戸籍がない。
【物語を生きるということ】
Y漫画は6巻だけ買えばよくないですか?
Sこの「魔剣とんぺい」は14巻まで出ていてまだ完成していない。モリオは6巻の途中とんぺいの父の真相が分かるところまで読んで、10巻に飛んで三分の一を読んだ。途中欠けている部分を想像で埋めて自分の物語にしなければならない。それがおばあちゃんを守ってあの怖い声の男と戦うこと。モリオはとんぺいに重ねて冒険と恋の物語を生きることで、はじめて自分であることができる。モリオには里の物語を生きることが出来ない。里の物語とは違う物語が必要。そういう物語がないと自分が何であるか分からなくなる。そのストーリーの元をくれるのが「魔剣とんぺい」。
モリオには物語を語ることが是非必要だということ。モリオは家の物語以外の物語を語らなくてはならない。これが、モリオ、あみ子、「あひる」の姉に共通する物書きのレーゾンデートル。
N圧倒的ですね。
S山姥が里から子供を攫って来て、山の中で踊りや舞を教える話がある。アジールとして子供たちを保護する。山の民は足がすごく速かったり、お風呂は水に焼けた石を入れるとか、少し違った習慣がある、花の蜜を食べるのも山の生活だとおもう。汗をかくというのも何か必要のある特質なのではないか。
Kすべらないように。
S木に上るため。モリオはビワの木にするすると登っている。そしていつも走っている。
KYNF すごい、じわじわと怖い。
S森の習慣、山の民の習慣が、この兄妹にはある。あめ玉と針が古代の商品だった。あめ玉が森の子にはご馳走だった。
Sセーラー服の少女がモリオに、おばあちゃんを知っているなら遊びに来てと言う。社会的な礼儀にかなった招待だけれど、モリオはそれに応じることができない。なぜなら決定的にモラルが異なるから。お礼を言って訪問するのが私たちの物語だが、それがモリオにはできない。
実際モリオが来たら、おばあちゃんの家のものをみんなもって帰ってしまったりするだろう。
Kおばあちゃんは全部あげると言っているのだから。
Sあの子が来ると、ものがなくなるということになるだろう。